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電気・ガスの値上げばかりが話題になりますが、その陰で水道料金の改定が全国に広がっています。2026年だけでも松本市が平均20.11%、静岡市が6月使用分から、秩父地域は平均51%という答申が出るなど、改定のニュースが相次ぎました。
ただし「水道代が5割上がる」という見出しだけが独り歩きしている面もあります。この記事では、実際にどの自治体がいくら上げたのか、なぜ上がるのか、そして水道代がこの先どこまで上がるのかを、公表資料と将来推計から整理します。
2026年、実際にいくら上がったのか
まず押さえておきたいのは、値上げ幅は自治体によってまったく違うということです。報道で目立つ数字と、一般家庭が実際に負担する金額にはズレがあります。2026年に改定した代表的な3例を見てみます。
同じ「2026年の値上げ」でも、一般家庭の負担増は月数百円から、率にして8%〜36%まで開きがあります。自分の自治体がどこに位置するかを知らないまま、平均値だけ見ても意味がありません。
松本市|平均20.11%、一般家庭は月460円増
長野県松本市は2026年4月1日に料金を改定し、6月検針分から適用しています。改定率は平均20.11%。13ミリ口径で月14.4立方メートルを使う一般的な家庭では、月2,030円が2,490円へ、460円の増加(+22.66%)となりました。
市の説明によれば、施設の更新・耐震化に多額の費用が必要な一方で、人口減少と節水機器の普及で水道料金収入は減少傾向にあり、現行料金のままでは令和11年度以降は赤字を補てんする財源もなくなるという見通しでした。値上げは選択ではなく、事業を続けるための必須条件だったことになります。
静岡市|一般家庭は8.4%、大口ほど負担が重い設計
静岡市は2026年6月使用分から水道料金・下水道使用料を改定しました。特徴的なのは使用量によって改定率を変えている点です。
下水道使用料も少量+8.0%/中量+26.1%/大量+29.7%と同様の傾向。一般家庭の負担を抑え、大口利用者に厚く配分する設計になっています。標準的な2〜3人世帯(口径20mm・2か月40m³)で10,768円→11,648円、2か月あたり880円の増加です。
ここは注意が必要な点です。ネット上には「静岡市は最大50%値上げ」という表現も見られますが、一般家庭に適用される改定率は8.4%であり、大きい数字は事業所向けの区分です。自分に関係する数字がどれなのかを見分ける必要があります。
秩父地域|答申51%を、補助で36.1%に圧縮
埼玉県内で唯一広域化されている秩父地域5市町(秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町)では、経営審議会が平均51%の値上げを答申しました。ただし実際の改定率は、各市町の一般会計から補助を入れることで36.1%まで圧縮されています。さらに国の物価高騰対応の交付金を活用し、改定による基本料金の値上げ分を減免する方針も示されました。
つまり「答申の数字」と「実際に請求される数字」は別物です。報道の見出しだけで判断せず、自治体が最終的にどう決めたかまで確認する価値があります。
なぜ今、全国で水道代が上がるのか
背景は大きく3つあります。
- 水道管の老朽化:高度成長期に一斉に敷設された水道管が耐用年数を迎え、更新費用が一気に膨らんでいます
- 人口減少と節水の普及:更新費用は増えるのに、それを負担する利用者と使用量は減り続けます。地方ほど1人あたりの負担が重くなる構造です
- 耐震化の前倒し:静岡市は改定理由として、能登半島地震で上下水道の被害の深刻さと復旧の長さを認識したこと、南海トラフ地震の30年以内発生確率が引き上げられたことを挙げています
電気やガスの値上げが燃料価格という「変動要因」で説明されるのに対し、水道の値上げは設備という「構造要因」です。だから一度上がると下がりません。
この先どこまで上がるのか|2046年の推計
EY Japanと水の安全保障戦略機構が共同でまとめた「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2024年版)」では、かなり厳しい見通しが示されています。
同推計では、全国1,243の水道事業者のうち約96%で値上げが必要とされています。今回改定した自治体は「先に動いた側」であり、まだ据え置いている自治体の多くも、いずれ改定に踏み切るという前提で家計を考えておく必要があります。
水道は乗り換えできない。それでもできる3つのこと
電気・ガスは契約先を変えれば下げられますが、水道は住んでいる自治体が決めた料金を払うしかない完全な地域独占です。その前提で、現実的にできることは3つあります。
- ①自治体の改定計画を先に知る:「(自治体名)水道料金 改定」で検索すると、審議会の答申や改定スケジュールが公表されているケースが多くあります。検針票に改定予告が載ることもあります
- ②減免制度を確認する:秩父地域のように、値上げと同時に交付金による減免が用意される例があります。自動適用か申請制かは自治体によるため、必ず確認してください
- ③引っ越し先の判断材料に入れる:同じ都道府県内でも水道料金は自治体ごとに大きく異なります。転居を検討しているなら、家賃と同じ列に並べて比較する価値があります
そして最も効くのは、水道単体ではなく公共料金全体で見ることです。水道の月数百円は、電気・ガスの見直しで十分に取り返せる範囲だからです。
よくある質問
まとめ:水道代は「乗り換えできない、下がらない値上げ」
- 2026年の改定幅は自治体差が大きい。松本市20.11%、静岡市の一般家庭8.4%、秩父地域36.1%(答申は51%)
- 見出しの数字と自分の負担は別物。答申値か決定値か、事業所向けか一般家庭向けかを必ず確認する
- 背景は老朽化・人口減少・耐震化という構造要因。燃料価格と違い、一度上がると下がらない
- 2046年度には全国平均4,895円(2021年度比+47.6%)、事業者の約96%で値上げが必要という推計もある
- 水道は乗り換えできない。取り返すなら電気・ガス側で——計算機で30秒試算
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※出典:松本市「令和8(2026)年4月1日から水道料金を改定します」、静岡市「2026年6月使用分から水道料金・下水道使用料を値上げします」、秩父広域市町村圏組合および報道、EY Japan・水の安全保障戦略機構「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2024年版)」。改定の有無・幅・時期は自治体により異なります。最新情報は必ずお住まいの自治体・水道局の公式発表をご確認ください。



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