✍️ トレンドインサイト編集部|カテゴリ:お金・制度|2026年8月14日公開
出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月・令和8年4月1日現在の法令等に基づく)
年末調整では、給与や家族の所得の見込みと、提出する申告書を確認します。この記事は2026年分の所得税の改正を整理したものです。
令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられた。これにより課税が始まるラインが178万円になる。あわせて、扶養に入れる家族の収入の上限も動いた。
扶養親族等の所得要件は、給与だけの場合の目安で123万円以下から136万円以下へ変わります。ただし、年齢や生計など他の要件もあり、社会保険の扶養とは別の判定です。
この記事では、国税庁の公表資料をもとに何が・いつから・誰に効くのかを整理し、混同されやすい「106万円の壁」との違いも一枚の表にする。
📋 この記事でわかること
- 178万円という数字の内訳(基礎控除104万円+給与所得控除74万円)
- 扶養に入れる給与収入が123万円→136万円に上がったこと
- 今回の源泉徴収の改正時期と、年間税額を精算する仕組み
- 「106万円の壁」との違い(税と社会保険はまったく別物)
- 編集部の見解:申告書を出さないと適用されない、という落とし穴
結論:変わるのは3つ。効いてくるのは12月
国税庁の資料によれば、令和8年度税制改正で行われたのは次の3つである。これらは原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用される。
| 改正項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 基礎控除(所得税法の本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除(加算後の最大額) | 95万円 | 104万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 扶養親族等の所得要件(給与収入) | 123万円以下 | 136万円以下 |
給与収入だけで他に所得がない場合、178万円という目安は、基礎控除の最大104万円と給与所得控除の最低74万円を合わせたものです。基礎控除は全員一律104万円ではありません。適用年と合計所得金額に対応する額を国税庁の基礎控除表で確認してください。
178万円の内訳
基礎控除(本則) 62万円
基礎控除(加算・最大) 42万円
給与所得控除(最低保障) 74万円
合計 178万円 = ここまで所得税がかからない
※ 収入が給与だけの場合。合計所得金額に応じて基礎控除の加算額は変わる
11月までの源泉徴収と、年末の精算を分ける
今回の改正による月々の源泉徴収事務の変更は、2026年11月までありません。ただし、給与額や扶養状況の変化で天引き額が変わることはあります。
国税庁の改正Q&Aは、2026年分の年末調整で改正後の控除等を使って年間税額を計算し、毎月の徴収税額と精算する仕組みを説明しています。
では、いつ効くのか。令和8年12月に行う年末調整である。ここで引き上げ後の基礎控除額と、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って1年分の税額を計算し直し、それまで引かれていた額との差額を精算する。
年末調整では、引かれた税額が年税額より多ければ還付され、不足があれば徴収されます。全員に同額の還付や手取り増があるわけではありません。2027年分から源泉徴収税額表が変わりますが、実際の手取りは給与額・保険料・他の控除等にも左右されます。
扶養の所得要件と、必要な申告を確認する
家計に直接効くのはこちらだ。基礎控除の引き上げに伴い、扶養控除などの対象となる扶養親族等の所得要件が改正された。給与収入に換算すると、こう動いている。
正確な要件は合計所得金額で定められており、括弧内が収入は給与だけの場合の金額になる。整理すると次のとおり。
| 区分 | 改正前(給与収入) | 改正後(給与収入) |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 ひとり親の生計を一にする子 |
58万円以下 (123万円以下) |
62万円以下 (136万円以下) |
| 特定親族 | 58万円超123万円以下 (123万円超188万円以下) |
62万円超123万円以下 (136万円超197万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象配偶者 | 58万円超133万円以下 (123万円超201万5,999円以下) |
62万円超133万円以下 (136万円超207万円以下) |
| 勤労学生 | 85万円以下 (150万円以下) |
89万円以下 (163万円以下) |
源泉徴収事務での適用時期と、年間の所得要件を分けて確認してください。家族に副業など給与以外の所得がある場合、給与収入だけの換算額では判定できません。
「106万円の壁」とは別物である
ここで整理しておきたいのが、社会保険側の壁との違いだ。当サイトでは2026年10月「106万円の壁」撤廃を扱ったが、あれとこれは別の制度である。
| 比較軸 | 178万円の壁 | 106万円の壁 |
|---|---|---|
| 何の話か | 所得税(税金) | 社会保険(厚生年金・健康保険) |
| 超えると何が起きるか | 所得税がかかり始める | 保険料の負担が発生する |
| 超えた瞬間の影響 | 本人の所得税と、家族の控除・手当を分けて判定 | 保険料が発生し、一時的に手取りが減ることがある |
| 2026年の動き | 課税最低限が178万円に | 賃金要件以外にも労働時間・勤務先などの条件を確認 |
本人の所得税、家族の扶養控除等、社会保険、勤務先の家族手当は別々に確認します。本人の所得税だけを見た説明から、世帯全体の手取りが減らないと保証することはできません。
✍️ 編集部の見解:黙っていても適用されない部分がある
この改正で最も注意すべきは、手続きが要る部分があることだと編集部は考えている。
基礎控除も「放っておけば適用される」わけではありません。年末調整で適用を受けるため、基礎控除申告書の提出と、所得に応じた額の記載が必要です。勤務先からの提出案内を確認してください。
扶養についても申告の確認が必要です。国税庁の資料には、この改正によって新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について扶養控除等の適用を受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要と明記されている。
前年に扶養対象でなかった家族も、今年の所得等の条件次第で判定が変わります。要件を満たした事実を勤務先が自動で把握するとは限りません。必要な申告書や異動欄の記載は、勤務先の給与担当に確認してください。
年末調整は12月の給与だけに対する計算ではなく、年間の税額を精算する手続きです。年の途中で退職・出国した場合などは扱いが異なるため、勤務先や税務署へ確認してください。
年内に、本人と家族の年間所得の見込み、提出済みの申告書、勤務先の締め切りをメモにまとめておきます。所得要件の数字だけで就労を決めず、社会保険や勤務先の手当への影響も分けて確認してください。
よくある質問
まとめ
- 基礎控除は本則58万円→62万円、加算後の最大額は95万円→104万円に引き上げられた
- 給与所得控除の最低保障額は65万円→74万円。合わせて課税最低限が178万円になる
- 今回の源泉徴収事務の改正は11月まで適用されない。令和8年分は12月の年末調整でまとめて精算される
- 源泉徴収税額表の変更は令和9年分から。源泉徴収税額表の改正がそのタイミングになる
- 扶養の給与収入ラインは123万円→136万円。勤労学生は150万円→163万円、特定親族の上限は188万円→197万円
- 新たに扶養の要件を満たす家族については申告書の提出が必要。出さなければ控除は受けられない
- 178万円の壁と106万円の壁は別物。社会保険・家族の控除・勤務先の手当も別に確認する
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※【出典】
・国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(令和8年度税制改正により所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ及び扶養親族等の所得要件の改正等が行われ、原則として令和8年12月1日に施行、令和8年分以後の所得税について適用。令和8年12月に行う年末調整など令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じ、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じない)
・国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」令和8年4月(令和8年4月1日現在の法令等に基づく。所得税法第86条の基礎控除額62万円・改正前58万円、租税特別措置法第41条の16の2による加算後の控除額は対象年と合計所得金額に応じて判定、給与所得控除の最低保障額65万円が74万円に引上げ、扶養親族等の所得要件の改正、令和9年分以後の源泉徴収税額表の改正)
※【免責】本記事は公表されている情報をもとに編集部が整理したものです。基礎控除の加算額は合計所得金額に応じて変わり、特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合は本文中の給与収入換算額と異なります。個別の判定や手続きについては、勤務先の給与担当部署または所轄の税務署にご確認ください。

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