✍️ トレンドインサイト編集部|カテゴリ:お金・制度|2026年8月13日公開
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 届出のご案内」(2026年6月23日金融庁長官へ届出)/同「自動車保険参考純率 改定(適合性審査結果通知受領)のご案内」(2026年6月30日)/同「火災保険参考純率改定のご案内」(2023年6月21日届出)
「自動車保険が平均14.4%値上げ」という見出しを見た人は多いと思う。ただ、この14.4%という数字は、そのまま自分の保険料に置き換えられるものではない。
損害保険料率算出機構は2026年6月23日、自動車保険の参考純率の変更を金融庁長官に届け出た。6月30日には適合性審査の結果通知を受領している。引き上げ幅は平均14.4%。ここまでは報じられているとおりだ。
ただし公表資料を開くと、報道ではあまり触れられない前提が3つ書かれている。①これは保険料そのものではない、②自家用乗用車の改定率は平均より高い、③反映は2027年1月以降を想定しているという3点だ。
この記事では、その3点を原典で確認したうえで、火災保険が同じタイミングで上がるという理解が正しいかどうかまで整理する。
📋 この記事でわかること
- 参考純率と保険料の関係(14.4%がそのまま転嫁されない理由)
- 自家用普通・小型乗用車は+17.2%、軽自動車は+17.5%という実際の数字
- いつから上がるのか(2027年1月以降を想定)
- 火災保険は「今回は上がらない」。直近の改定は2023年だった
- 編集部の見解:反映までの数か月でやっておくこと
結論:上がるのは自動車保険。火災保険は今回の対象外
| 区分 | 直近の参考純率改定 | 保険料への反映 |
|---|---|---|
| 自動車保険 | 2026年6月 平均+14.4% |
2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定。採用の可否と時期は各社が決める |
| 火災保険 | 2023年6月 全国平均+13.0% |
大手各社は2024年10月に反映済み。2026年に新たな改定の届出は出ていない |
ここが最初のポイントになる。「2026年に自動車保険と火災保険がそろって上がる」という理解は正確ではない。火災保険の参考純率が最後に改定されたのは2023年6月21日の届出(同月28日に適合性審査結果通知を受領)で、全国平均13.0%の引き上げと水災料率の5区分細分化が内容だった。各社の商品にはすでに2024年10月ごろ反映されている。
いま動いているのは自動車保険のほうだ、と切り分けておきたい。
「参考純率14.4%上昇」=「保険料14.4%上昇」ではない
そもそも参考純率とは何か。保険料率は2つの部分でできている。
保険料率の構成
① 純保険料率 事故のときに保険会社が支払う保険金に充てられる部分
→ この部分の「参考数値」が参考純率。今回14.4%上がったのはここ
② 付加保険料率 保険会社の経費などに充てられる部分
→ 機構は算出していない。各保険会社が独自に決めている
※ 参考純率は使用義務のない参考数値。採用するかどうかも、いつ販売に反映するかも各社の判断
公表資料には、この点がはっきり書かれている。会員の保険会社は参考純率をそのまま使うこともできるし、自社の商品設計に応じて修正して使うこともできる。参考純率を用いず、独自に純保険料率を算出することも可能だ。そのうえで各社が決めた付加保険料率を足したものが、契約者が払う保険料になる。
つまり14.4%は保険金に充てられる部分の目安が14.4%上がったという意味であって、契約者の請求額が14.4%増えると決まったわけではない。実際の改定率も時期も、保険会社ごとに違う形で出てくる。
ただし、自家用乗用車の改定率は平均より高い
次に、平均14.4%という数字の中身を見る。公表資料には代表的な契約例ごとの改定率が示されており、こうなっている。
報じられる「平均14.4%」に対し、個人が乗る自家用車の契約例はいずれも15%台から17%台である。平均には事業用の車両なども含まれるため、家庭の契約はそれより上に来る。
もうひとつ読み取れるのは、車両保険を付けているほうが上げ幅が大きいことだ。普通・小型乗用車で比べると、車両保険ありが+17.2%、なしが+16.4%。後述するとおり、上昇の主因が「修理費そのものの高騰」にあるためで、自分の車の修理費を補償する車両保険が最も直撃を受ける。
なお、この改定率は自動車の使用地域が沖縄県以外のセット契約における、すべての契約条件の平均値である。等級・年齢条件・型式別料率クラスなどによって、実際の改定率は変わる。
なぜ上がるのか:事故は減っているのに、1件が高い
公表資料の説明はシンプルだ。事故率は緩やかに減っている。ところが1件あたりの支払保険金が、それを上回るペースで上がっている。
新型コロナ以降に交通量が回復したことで事故は一度増えたが、足元では衝突被害軽減ブレーキ(AEB)など先進安全技術の普及を背景に減少している。それでも保険金が増えるのは、修理費が上がっているからだ。背景として挙げられているのは、急激な物価上昇、高性能部品の普及による部品の高額化、工賃単価の上昇、修理期間の長期化による代車料などの増加である。
資料には、部品ごとの修理費見積りの動きも示されている(対物賠償責任保険の例、2025年3月と2026年3月の比較)。
| 部品 | 部品費 | 工賃 |
|---|---|---|
| ヘッドランプユニット(左) | 7.0万円→8.1万円 +17% |
+11% |
| フロントバンパ | 5.3万円→5.8万円 +10% |
+16% |
| バックドアパネル | 5.5万円→5.9万円 +7% |
+13% |
| リヤバンパ | 4.7万円→5.0万円 +6% |
+16% |
注目したいのは、どの部品でも工賃の伸びが部品費と同等かそれ以上だという点だ。部品が高くなっているだけでなく、直す手間の単価も上がっている。センサーやカメラを内蔵した部品が増えたことで、交換後の調整作業が必要になるケースも増えている。
安全運転で保険料が下がる区分が新設される
今回の届出には、引き上げ以外の内容も含まれている。運転者の運行特性を保険料に反映する料率区分の新設だ。
ドライブレコーダーなどで記録した走行データと保険データを突き合わせた結果、急加速・急減速が少ないほど事故リスクが低いという関係が確認されたという。これを受けて、急加速・急減速の頻度に応じた1〜3の3区分(1が最もリスクが低く保険料が安い)が設けられる。区分間の較差は10%とされている。
判定は一定期間の走行状況から総合的に行われ、1回の急な操作だけで区分が決まるものではないと明記されている。あわせて、発売後およそ3年以内の型式でAEBを装着している車には9%のASV割引が適用される仕組みも従来どおりある。
✍️ 編集部の見解:反映までの数か月をどう使うか
この改定でいちばん実務的に意味があるのは、反映が2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定しているという点だと編集部は考えている。逆に言えば、それまでに更新を迎える契約は、まだ現行の水準ということになる。
そのうえで、この期間にやっておく価値があることを3つ挙げる。
1つめは、車両保険の要否を見直すことだ。今回の改定率は、車両保険を付けた契約のほうが大きい。車両保険は年式が古い車ほど保険金額が下がる一方、保険料はリスクに応じてかかる。車の時価と、払っている車両保険料が見合っているかを一度確認しておきたい。外すかどうかは別として、判断材料を持っておく意味は大きい。
2つめは、更新時期を把握しておくことだ。各社が改定をいつ販売に反映するかはまちまちで、自分の更新月がその前か後かで負担が変わる。証券を出して満期日を確認するだけでも、心づもりが違ってくる。
3つめは、比較の物差しを「保険料の総額」に置くことだ。参考純率が上がると各社の保険料も動くが、動き方は一様ではない。付加保険料率は各社が独自に決めており、採用の可否や時期も各社の判断になる。改定率で比べるのではなく、同じ補償条件での見積総額で比べるのが確実だ。
火災保険については、今回はいったん切り離して考えていい。2023年6月の改定はすでに各社の商品に反映済みで、2026年に新しい参考純率改定の届出は出ていない。ただし水災料率が5区分に細分化された影響は住所によって差が大きいため、2024年10月以降に更新していない長期契約がある場合は、次の更新時に上がり幅が大きく出る可能性がある点は覚えておきたい。
よくある質問
まとめ
- 自動車保険の参考純率が平均14.4%引き上げ。2026年6月23日に金融庁長官へ届出、6月30日に適合性審査結果通知を受領
- 14.4%は保険料の上昇率ではない。参考純率は純保険料率の参考数値で、付加保険料率は各社が独自に決めている
- 自家用乗用車の契約例は+15.8%〜+17.5%と平均より高い。車両保険を付けているほうが上げ幅が大きい
- 反映は2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定。ただし販売時期は各社が決める
- 要因は修理費の高騰。事故率は緩やかに減っているが、部品費も工賃も上がり続けている
- 火災保険は今回の対象外。直近の参考純率改定は2023年6月で、各社は2024年10月ごろ反映済み
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📱 保険の反映は先。先に動かせる固定費から手を付ける
自動車保険の改定が効いてくるのは2027年1月以降の契約からで、今すぐ下げられるものではない。一方、通信費は手続きした翌月から効く。負担増が見えている年は、動かせるものを先に動かしておくと差が出る。
→ 【2026年】スマホ代、平均より払いすぎ?タイプ別に選ぶ格安SIMの見直し方でタイプ別に確認できる。
※【出典】
・損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率届出のご案内(2026年6月23日金融庁長官への届出)」(参考純率水準を平均14.4%引上げ、運転者の運行特性を保険料に反映する料率区分を新設、改定率の例として自家用普通・小型乗用車+17.2%/自家用軽四輪乗用車+17.5%/車両保険を除くセット契約は同+16.4%・+15.8%、2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定、沖縄県以外のセット契約の平均)
・損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 改定(適合性審査結果通知受領)のご案内」2026年6月30日
・部品別の修理費見積りは同資料掲載のコグニビジョン社「cogniSEVEN+」による対物賠償責任保険の集計(2025年3月と2026年3月の比較)
・損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内」(2023年6月21日金融庁長官への届出、2023年6月28日適合性審査結果通知受領。全国平均13.0%の引上げ、水災料率の5区分細分化)
※【免責】本記事は公表されている情報をもとに編集部が整理したものです。参考純率は使用義務のない参考数値であり、実際の保険料・改定率・改定時期は各保険会社が決定します。個別の保険料については、契約している保険会社または代理店にご確認ください。



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